びわ湖漁師 中村清作 新聞コラム第1話 2014年4月2日掲載


 
” 湖の今 ”  僕の言葉で

琵琶湖で漁師してます中村です。えっ 琵琶湖に漁師がいるん?って思ったそこのあなた! 減ってしまいましたが、それでも800人以上が毎日漁をしています。琵琶湖に50種の魚がいて、今も毎日あちこちの港でたくさん水揚げされている。でも悲しいかな、なかなか食卓まで届かない…。

僕は、地元の学校を出て地元の工場に2年勤めました。太陽が当たる頃に出勤し、蛍光灯の下で黙々働き、夜暗くなって帰る。寝て起きてまた出勤。おひさまのない生活。この仕事が悪いとはちっとも思いません。ただ、もっと面白い生き方がしたかった。思い出したのが、親父が夕陽とともに船で漁港に帰ってきて捕れたてのコアユを軽トラにドンドン積み込む姿。小さかった僕は助手席にチョイっと乗り込み、佃煮屋さんにコアユを配るのを手伝った。あの頃の記憶。あぁ漁師してみよっかな……。

それから親父の船に乗りました。今は、いろんな仲間と情報交換をし、その日の風向き、潮の流れ、ここ数日の天気や気温、狙う魚の行動パターン、魚群探知機の反応、いろんな事を考えて網を入れます。が、親父の経験と勘にはまだ勝てません!(笑)今に見とれよ……と闘志を燃やしながら気つけばもう8年。歳になりました。これから1年、湖の目線で、僕の言葉で、琵琶湖の「当たり前」を発信していきます!

文 / 中村清作
写真 / オザキマサキ