びわ湖漁師 中村清作 新聞コラム第2話 2014年4月23日掲載


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うちのふなずし 天然の味

ぼくの住む海津大崎では、桜の開花と同時に霰が降る少し寒い春の訪れとなりました。春といえば桜ですが、漁師中村の春はふなずしです。ふなずしは一般的にはお正月のごちそう。発酵がよく進む土用に漬け、お正月前に新物ができあがります。でも、うちは1~8月コアユ漁に全力を注ぐため漬けるのが遅れ、できあがりは3月です。厳密に言うと、親父が「できた!」と言わないだけかもしれませんが…(笑)

ふなずしといえばニゴロブナ。ずーっと沖合に出て、水深50㍍くらいの琵琶湖の底に網を入れて捕ります。2~3日後にあげると、網に刺さったニゴロはまだピチピチ生きてます!でも実は、ふなずしは僕たちがヒワラと呼ぶギンブナでも美味しくできます。うちで食べるためのふなずしの桶にはニゴロとヒワラがごちゃ混ぜで入ってます。どれも美味しくて、ヨダレが……。おっと。

うちの作り方は良い意味で適当です。お米に漬けた後は、重しをし、水を張ったらビニールをかぶせて外に放置!ひたすら放置!触らない!無視!自然の力で勝手にできあがります。自然って偉大です。昔はどこの家の軒先にもふなずしの桶があったと聞くので、これが当たり前の姿なんだと思います。そして僕がたったひとつ言いたいのは「自分で作ったふなずしを自分で桶から出す。その一匹が本当においしい」ってこと。今年は天然ニゴロブナが豊漁です。ご自宅でマイふなずしに挑戦してみてはいかがでしょうか?

文 / 中村清作
写真 / オザキマサキ